b型肝炎の特徴やウイルスマーカーによる検査方法

病院13

b型肝炎は全世界で3億5000万人が感染しているといわれ、そのうち日本人は約130~150万人と推定されています。

つまり日本人の100人に1人はb型肝炎に感染している計算になります。また集団予防接種(予防接種やツベルクリン反応検査)の際に注射器が連続使用されたことが原因で感染した方は40万人以上とされています。今回はb型肝炎の特徴やウイルスマーカーによる検査方法についてまとめました。

b型肝炎の原因とは

b型肝炎とはb型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)によって引き起こされるウイルス性の肝炎で、1964年に発見されました。肝炎とは肝臓が炎症を起こしている状態で、ウイルス性の他にアルコール性、薬剤性、脂肪肝による原因がありますが、肝炎の約9割は肝炎ウイルスが原因とされています。

またb型肝炎ウイルスの他にも、A型、C型、D方、E型の5種の肝炎ウイルスが見つかっています。

b型肝炎の感染経路

b型肝炎は血液や体液を介して感染します。そのため過去には輸血や血液製剤、注射器の再利用等によってb型肝炎に感染し、訴訟問題に発展しました。このような医療行為を通じてb型肝炎に感染することは現代においてはありませんが、麻薬中毒者の注射器の使いまわし、不衛生な状態での入れ墨やピアス装着作業、出血を伴う民間療法等が感染経路として挙げられます。

中でも最も一般的な感染経路は、性交渉によるb型肝炎ウイルスの感染です。本人に自覚症状が無く、知らない間にウイルスをパートナーに感染させている可能性もあります。

さらにb型肝炎は「垂直感染」とよばれる母子感染を引き起こします。

通常は分娩時に子どもに感染しますが、まれに胎内感染する場合もあるため注意が必要です。

b型肝炎キャリアとは

成人の場合は免疫機能が発達しているため、b型肝炎に感染しても一過性の感染で自然治癒します。b型肝炎感染者の約7-8割が一過性感染で、残りの約2-3割の感染者は急性肝炎を引き起こすとされています。急性肝炎の症状は38℃以上の高熱、全身倦怠感や嘔吐、黄疸などが見られますが98%は治癒します。

残り2%において劇症肝炎を発症するとされており、劇症肝炎発症者の70%は死に至ります。このようにb型肝炎を発症、治癒した場合は、体内からウイルスを排除しb型肝炎ウイルスに対する免疫を獲得することが出来ます。

ところが免疫力の弱い乳幼児、透析や免疫抑制剤を使用中の方がb型肝炎に感染した場合、免疫機能が働かず肝炎を発症しない場合があります。そのため肝炎を発症しないまま、肝炎ウイルスが体内にとどまることになります。

このように体内に肝炎ウイルスを保持している方を「キャリア」と呼びます。キャリアの方の90%は肝炎を発症しないまま生涯を終えますが、残り10%において慢性肝炎を発症し肝硬変、肝細胞がんに発展する可能性があるとされています。

b型肝炎のウイルスマーカー検査

b型肝炎に感染しているかどうかを調べる方法として「ウイルスマーカー検査」があります。この検査はb型ウイルス感染の有無だけではなく、キャリアのスクリーニング検査としても有用です。肝機能障害がある場合、ウイルス性のものか他の原因によるものかを判断するためにも使用されます。

抗原とはウイルス等の免疫応答を引き起こす特定の物質で、これらを排除するために生産される免疫グロブリンと呼ばれるたんぱく質の総称を抗体と呼びます。b型肝炎ウイルスの抗原系にはHBs(ウイルスの表面)抗原、HBc(ウイルスの核)関連抗原、HBe(ウイルスの最外殻)抗原、それぞれの抗原に対するHBs抗体、HBc抗体、HBe抗体があります。

これらの抗原抗体系の反応結果によって、感染の状態を把握する方法がウイルスマーカー検査です。まず、HBs抗原陽性の場合はb型肝炎に感染している状態です。

さらにHBe抗原陽性の場合はウイルスの量が多く感染が強い状態、HBe抗体陽性の場合はウイルスの量が少なく感染が弱い状態と考えられます。HBc抗体陽性の場合は、b型肝炎ウイルス感染の既往があり、多くはHBs抗体も陽性となります。

但し、キャリアの場合はHBs抗原が陽性です。

b型肝炎の治療方法

b型肝炎ウイルスによる急性肝炎で抗ウイルス療法が行われるケースはほとんどありません。食欲低下などの症状があれば水分、栄養補給のために点滴を行いますが、基本的に薬剤は使用せず、自然にウイルスが排除されることを待ちます。

但し、劇症肝炎を発症し命に関わる危険性がある場合は、抗ウイルス薬として核酸アナログ製剤の投与や血液を浄化するための血漿交換、血液透析などの肝臓の機能を補助する特殊な治療を行う必要があります。これらの治療によっても症状が改善できない場合は、肝移植を行う場合もあります。

キャリアから慢性肝炎を発症した場合、持続感染しているb型肝炎ウイルスは完全には体内から排除できないことが分かっています。C型慢性肝炎の場合にはC型肝炎ウイルスに対するインターフェロン(IFN)療法、あるいは直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の内服治療により、高確率でウイルスの完全排除が期待できますが、残念ながらb型慢性肝炎には効果的な治療法がありません。

→b型肝炎の検査の中でも重要なウイルス量の検査とは

b型肝炎ワクチンについて

b型肝炎はワクチンによって予防することが出来ます。世界180カ国以上でb型肝炎ワクチンの接種が行われており、最も安全なワクチンの一つです。接種方法は他のワクチン同様皮下注射で行われ、4~6カ月間の間に3回に分けて行う必要があります。

摂取量は0.25~0.5mlでb型肝炎及び将来の肝がん発症を予防できるとされています。特に乳幼児期に摂取した場合、ほぼ全ての人がb型肝炎に対する免疫を獲得することが出来ます。

獲得した免疫は15年間持続し、20歳代までに摂取した場合に高い効果が得られますが、年齢を重ねるたびに効果が減少します。

40歳以降に摂取した場合に免疫を獲得できるのは約80%であり、できるだけ若い年代でワクチン接種を行うことが推奨されています。

b型肝炎の予防法

b型肝炎の予防方法は上記のワクチン接種に加え、不特定多数の人との性交渉を避ける必要があります。またコンドームを正しく使用することも大切です。途上国の場合は日本国内と異なり、不適切な医療行為や汚染された医療器具によって感染する可能性もあります。

そのため事前に安心して利用できる医療機関を調べておくことが重要です。